講談社は、漫画『頭文字D』の連載30周年を記念し、作中に登場した自動車メーカー7社と連携した屋外広告 (OOH)を、6月9日より渋谷駅構内に掲出している。競合関係にある複数社が同一ビジュアルに揃って登場する企画に、公式X(旧Twitter)での告知投稿は、公開から7時間で1.7万件のいいね、約5500件のリポストなどを得るなど、SNS上で反響を集めている。
広告は全長22メートルの大型グラフィックで、「#クルマが好きでよかった」のコピーを掲げ、作品とメーカーがともに“クルマ愛”を宣言する内容だ。
場所は、東急⽥園都市線の渋⾕駅構内・B1F改札外で、6月15日まで掲出される。「クルマ愛を堂々と宣言したい」との意図から大型スペースを選び、撮影や鑑賞がしやすい立地を選定。
企画の実現は「難しいのでは」
参加したのは、スズキ、スバル、トヨタ自動車、日産自動車、ホンダ、マツダ、三菱自動車の7社。
企画・制作を手がけた博報堂のクリエイティブディレクター・嶋元司氏は「出来れば素敵だけど、難しいのでは」と“ダメ元”で始動したというが、「実現したのは、作品とメーカーさまの間に信頼とリスペクトがあったから」と振り返る。
企画の起点は、「すべてのクルマファンが盛り上がれるモーメントをつくりたい」という想い。『頭文字D』がクルマとそのファンを肯定する作品であることから、登場メーカーとのコラボグラフィックを発想した。
どのクルマに乗っている人も“自分ごと”に
OOHの左側には各社の登場車種(スズキ「カプチーノ」、スバル「インプレッサ」、トヨタ「SW20 MR2」、日産「BNR34 GT-R」、ホンダ「NSX」、マツダ「B6 ユーノス・ロードスター」、三菱自動車「CN9AランサーエボリューションIV」)のイラストが並ぶ。
大きく記載される「#クルマが好きでよかった」のコピーに呼応するように、左端には「私たちもです」の文字が添えられる。その直下に配置されたのが、各社の企業ロゴだ。
「7社それぞれの存在感を尊重しながら、すべての車両とロゴのサイズ・順序を横並びにした」と嶋元氏。左から名前順に車名とロゴが並ぶ構成もその一環で、「どのクルマに乗っている人でも“自分ごと”として受け取れる設計を心がけた」と続ける。
OOHの中央には、作者・しげの秀一氏による描き下ろしイラストも掲載。しげの氏が新たに描き下ろしを行うのは、約11年半ぶりとなる。
描き下ろしイラストとして描かれたのは、作中に登場する「プロジェクトD」のメンバー・藤原拓海、高橋啓介、高橋涼介と、彼ら愛用のクルマ
新聞2紙を“つないで完成”する広告も展開
また、6月6日付の朝日新聞と読売新聞の朝刊にそれぞれ15段広告を掲載。2紙の広告を横に並べると「プロジェクトD」のメンバー3人とその愛車が揃う、1枚の広告ビジュアルが完成する仕掛けになっている。
6月6日の朝日新聞と読売新聞の朝刊に掲載された広告を、つなぎ合わせた“完成形”